2017年8月31日、サッカー日本代表はロシアワールドカップへの出場を決めた。とても素晴らしいことである。しがないおっさんの自分にとっても、昔はサッカーをやっていたということだけで、誇らしい気持ちもある。
しかし、一人のサッカーファンとして、今回の予選とそれに伴う報道などに警鐘とともに提言を記したいと思う。

1.選手の選択について

ちょうど1年前、2016年9月1日に行われたワールドカップ予選UAE戦で2-1と敗北した。その時のスタメンと今回のスタメンを比較してみる。
2016/09/01      2017/08/31
1-2 UAE        2-0 オーストラリア
西川 周作       川島 永嗣
森重 真人       昌子 源
酒井 宏樹       長友 佑都
酒井 高徳       酒井 宏樹
吉田 麻也       吉田 麻也
本田 圭佑       井手口 陽介
大島 僚太       山口 蛍
香川 真司       長谷部 誠
清武 弘嗣       乾 貴士
長谷部 誠       大迫 勇也
岡崎 慎司       浅野 拓磨
(赤:1年前はスタメンで今回は外れた選手、青:1年前の試合はベンチ入りすらしていない選手)
ケガなどの状態変化もあるので、一概に言えないが特に中盤から前の選手のを比較すると、実は長谷部以外はスタメン落ちし、ベンチが多くなっている。
調子の波というファクターもあり、また負けたので変更するということも考慮すべきだが、ここまで大きく変化することも珍しい。代表選手の核となる選手が居ないなかで戦ってきたというこの証でもある。




しかし、私はもう一つのファクターを指摘したい。「昔の名前で出ている選手を優遇」してこなかったか?という点だ。サッカーはたとえクリスチアーノ・ロナウドであっても、調子が悪ければゲームには出ないし、出ても早々に交代となる。これがサッカーの采配の常識だ。しかし、1年前の試合を思い出してほしい。失礼だが、赤字で記した選手たちのすべてが最高のパフォーマンスを出していただろうか。私は全員が最高の状況ではなかったと思う。日本代表としての輝きを放っていなかったとみている。百歩譲って「若手へのチャンスを与えた」なら、また不可解な選手起用であっても理解しよう。しかし特に中盤から前で変わった選手の多くは、ロシアでは30歳を超える選手であることも事実だ。

我々は、かつて三浦知良(カズ)という選手にひどい対応をした。彼は日本代表の核として、調子が悪くてもピッチに立ち続けた。その結果、より調子を落とし、最終的にはメンバーを外れ、ついにワールドカップへの出場はかなわなかった。
今では信じられないだろうが、A代表が地区予選で敗退しオリンピックの出場ですら叶わない時代に、「日本をワールドカップに出場させる」と公言し、文字通り日本サッカー界をけん引し夢を目標にさせ、本当に出場に至った最大の功労者である。
当時の加茂周代表監督が、強い絆のカズと心中する気持ちであったたため、どんなに調子が悪くともフル出場させたこと。また初めての夢を追いかける日本中の思いが、悪い方向に働き、不幸な結果を招いたと今では考えている。つまり調子が悪い選手は使うべきではないのだ。

またメディアによる報道も、視聴率のためだろうが煽る傾向が強い。昨日の試合も「負けられない試合がそこに」までのキャッチフレーズはまだしも、画面の字幕では「負けるとワールドカップへの道が…」などと扇情的に中継する。中継の言葉に踊らされずに、冷静に見ていく必要を感じている。
今回、加茂監督のように監督と特別な絆のある選手は、1年前にはいなかったはずだ。特に監督は外国人である。実力と自らの戦術に応じて選手を選ぶはずだ。なぜこのようなスターティングメンバーになっていたのか?冷静に分析すべきである。直近のスタッフの進言だったのか、報道や他の見えない圧力だったのか、経緯は不明だ。しかし本線に出場した際に30歳を超えるであろう有名選手を多用し、負けたという事実はよく検証すべきだと思う。



2.功労者を忘れるな

実際のワールドカップは、来年である。それまでに新戦力が出てくることは望ましいことである。しかし、今回の予選の功労者を忘れてはならない。
1年後、メディアは違うことを煽っている可能性が高い。そのため個人的にロシアへの道を開いた功労者と考えている選手を記載する。

1.原口元気


(写真は本人のtwitterより)
まさかの予選開幕戦というプレッシャーの中、次戦のタイ戦で1点を先取した。硬くなっているチームを生き返らせた。その後の試合でも点を重ね、また試合中も献身的な運動量でチームを支えた。素晴らしい活躍だった。

2.山口蛍

(写真は本人のtwitterより)
2016年10月6日、ホームで迎えたイラク戦。1-1の均衡を破る後半ロスタイムのミドルシュートでの得点。この点がなければ、おそらくロシアに行くことはできなかったであろう。この二人の活躍が、ベテラン代表を生き返られたと考えている。

3.酒井宏樹

(写真は本人のtwitterより)
昨日のオーストラリアとの戦いで、よくぞゴールを守ったと思う。攻撃でも存在感があったが、ゴール前での身を投げ出してのディフェンスは素晴らしかった。

4.その他

もちろん、キャプテン長谷部。積極性が光った乾。今後に期待したい井手口。復帰を待ってるぞ清武。順調に伸びている浅野。前で頼むぞ大迫など。敢闘賞を上げたい選手はたくさんいる。



3.提言

ここまで書いてきて、おおむね言いたいことはご理解いただいていると思う。
サッカーはハードなスポーツだ。45分走り切る体力と、状況に応じた戦術の選択が重要である。昨日の試合で今までと違う何かを感じなかっただろうか。全体の流動性がよかったと感じなかっただろうか。それは何か?若い体力のある選手たちによる、チームとしての戦略・戦術の沿った試合ができたからだと私は思う。そのために必要なことを記載していきたい。

1.若い選手を増やすべき

昨日の得点者は、浅野(22歳)と井手口(21歳)。特に井手口は、前半よりフル出場したうえで、後半の最後の時間帯にあのゴールを決めた。相手ディフェンダーと競り合いながらゴールを決めた。あの筋力・体力を持った者を主力として選手選考をすべきである。体力には個人差があり、一概にすべてを若い選手にとは思わないが、一般的には22-27歳前後を中心に若手からベテランまでで編成すべきである。少なくとも現状のベテラン重視では駄目であろう。

2.セーフティファーストの徹底

昨日の試合でもDFの吉田が、ボールをキーパーに取らせようとボールと相手選手の間に体を入れて交錯したシーンがあった。あのようなセーフティよりもボールキープを優先する選手はいらない。相手より早くボールに触り、セーフティに外に蹴りだすことを選択すべきである。つまらないプレーでの失点は、最も避けるべきである。

3.戦略・戦術の徹底

右サイドの浅野と酒井は、縦へのスピードを活かした展開。
左サイドの乾(原口)は、個人でのドリブル突破。
中盤の豊富な運動量によるゲームの支配。
これらがマッチしたのが昨日の試合だと考える。このように選手の特性に合わせた戦術を徹底すべきである。特に浅野を入れてもスピードを活かす展開が以前はあまりなかった。
監督の戦術を理解し、実践できる選手を選択すべきである。

4.カズを入れろ

矛盾するが、カズをロシアに連れていくべきである。特に若い選手が多くなればなるほど、カズという存在自体が心の支えになる。苦しい時、リズムが悪い時、チームのカンフル剤として雰囲気を変えるのもベテランの役目である。カズ以上の適任者はいない。同じチームに存在すること自体がチームに多大なる影響を与える。選手としてのカズは、長い時間は難しいかもしれないが、最も気持ちの強い選手であり、必ずやプレーで応えてくれるであろう。

5.最もやる気があり、調子のよい選手を起用せよ

もうすでに語りつくした。実績・所属チームは関係ない。昨日の乾のように、必死に戦う選手を起用すべきだ。
スポンサーやメディアなどの外野の圧力に負けないよう、強い心で監督は選手を起用してほしい。繰り返すが、実績は関係ない。強い気持ちと調子のよい選手を起用してほしい。

以上