国際化を考える際の参考に 石平著中国五千年の虚言史
各国の文化を理解した上で国際化すべし
交通機関の発達により、人モノの移動はどんどんスムーズになっていっています。そしてSNSなどの情報メディアの発達で情報の伝達は、文字通り瞬時に伝わる時代になりました。
地球のボーダレス化は本当に進んでいます。
では国際的に問題となることは何でしょうか。
当然第一の障壁は言葉の問題でしょう。
しかし本当の問題は、各国の宗教や風習などと言った生活文化なのではないでしょうか。
言葉の問題は、ある程度努力するなど、解決可能な問題と位置付けることができます。
しかし長年かけて作られた宗教・風習といった文化の違いを受け入れることができるか、というのが本当の問題として立ちふさがるのだと思います。
中国 日本に近いが生活習慣では遠い国
その意味では、本書は、非常に役立つ本であると言えるでしょう。
中華人民共和国から帰化し日本人になった、中華人民共和国を裏まで知る男である石平さん。
北京大学に卒業し、日本に留学した経歴を持つ才人です。
虎ノ門ニュースでもコメンテーターとして、中国の実際の姿を赤裸々に解説しれています。
その石平さんが、中国人の基本的な考え方を本にしたのがこちら
中国五千年の虚言史
実に興味深い本です。
元中国人である石平さんの目で見た、「中国人が嘘つきである」理由が書かれています。
歴史的な様々な史実を、検証して記載された本です。
儒教の教え
私は、昔から不思議でならないことがありました。
伝え聞く中華人民共和国と韓国の基本的な文化が、あまりに日本と違いすぎるのです。
漢字を中心に、中華人民共和国から日本に伝わった文化は多いのだと思います。地理的にも非常に近くに存在しています。
また一見しただけでは外見上、人種的にも非常に近いと思います。
にも関わらず、なぜ基本的な文化がこれほど違うのか。
本当に不思議でなりませんでした。
しかし、この本を読んで私はある程度理解することができました。
少なくとも中華人民共和国人の基本的な考え方は、基本的な日本人には理解できないし、全く別な思考であり交わることができない。
ということを理解することができました。
私がそのように理解した源泉は本の中にありました。儒教(孔子の教え)にあったのです。
日本と異なる?孔子の教え
私は儒教といのは、ざっくり言えば「仁義礼智信」を重んじる思想だと習ったように思いますし、考えていました。
悪い考えではありませんし、むしろ日本でも儒教の派生である朱子学として、生活の基本的な考えとして根付いてるものだと思います。
しかし、この中国五千年の虚言史で紹介されている孔子のエピソードは異なります。
乱暴に要約すると「家族を守るための盗みは構わないし、そのための嘘も問題なし」ということも孔子は説いているのだそうです。
また成功の哲学として紹介されてる故事として「面の皮は城壁より厚く、腹は石炭より黒く生きよ」があるとされています。
すなわち「嘘」をつくことは、悪いことではなく、むしろ良いとされているのが儒教の一面なのです。
どうも、儒教の概念が日本と中華人民共和国では異なっているようです。少なくとも生活に根付いている考えは別の点であることは間違いないようです。
なぜこのように変わってしまったのか。正直なところ、まったくわかりません。もともとの国民性ではない、と信じたいところです。しかし、このことが生活を行う上での価値観として受け入れられているのは間違いないようですね。
他人は信じない。騙されるほうが悪い文化
「中国五千年の虚言史」の中で紹介されるエピソードは、殷、周、秦、漢、三国、晋とならず紀元前からの歴史書に記載されているエピソードから、ごく最近のニュースと呼ばれる範囲を含んでいます。
そして、そのどれも虚言に彩られてしまっていることを指摘しています。
嘘には嘘で対抗するのが上策とされていること。「完璧」という言葉の由来の故事からも引用しています。
「馬鹿」という言葉の由来も、嘘からでた逸話。
また歴史上、正直者は生き残れない例が多いのも特徴なようです。
有名な項羽と劉邦。劉邦を勝利に導いた功労者の一人である韓信。漢建国後に、劉邦に冷遇され最後は処刑されてしまう。
なんともやりきれない逸話のオンパレードです。
当然ですが嘘が当たり前となると約束・契約なども、無いも同然です。それが基本的な文化である。ことを認識すべきでしょう。
実際、国としての条約なども反故にされてしまうような状況であり、国レベルのことは当然民間でも起こりえる、というところです。
本で紹介される中には、ご存知の逸話も多いかもしれません。
しかし「嘘」という点から、故事をまとめた本は他に無いと思います。中華人民共和国、および中国人を理解するためには、最適な一冊です。
もし中国人との交流を検討しているのであれば、必読の書となるでしょう。しかし、このことを理解すると、付き合うこと自体がリスクとしか思えない…ですね。
ここまで基本的な文化が違う人間がいることにショックを覚える一冊、と言っても過言ではありません。
追記(2018/9/25)
先日の虎ノ門ニュースで、元衆議院議員の西村眞悟先生が以下のようなことをおっしゃっていました。
本のテーマに近いと思われるので、追記いたします。
西村眞悟先生曰く
「ロシア人は、約束を破るために約束をする。
中国人は、そもそも約束という考えが無い」
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