わかりやすい! 藤井厳喜・石平著米中「冷戦」から「熱戦」へ

2021年1月25日

米中貿易戦争の本当の姿

日本のテレビ・新聞などの大手マスメディアは、すでに報道という側面を失っている。
少なくとも真実を脚色なく報道するという原則を忘れてしまっていることに異論はないであろう。

そこでこの本の出番である。
やはり、国際政治学者の藤井厳喜さんの視点は鋭い。
石平さんの中国観もさすがである。
この二人が米中貿易戦争の真相を語ってくれる。大手マスコミが報道しない真の実情を教えてくれる。この本はそんな本です。



米中「冷戦」から「熱戦」へ

サブタイトルは、「トランプは習近平を追い詰める」
帯に踊る言葉は、「米中戦争は、文明社会と暗黒帝国の戦いだ」
となっております。

暗黒帝国などと言われてしまうと、つい黒と帝国のキーワードでダースベイダーを思い浮かべてしまいます。

しかし、イメージはそのままでもいいのではないか?と思っています。


なぜ、帯の言葉まで紹介したのか。
それは、本の題名とこの2つのキャッチコピーが、意図することをよく伝えてると思うからです。

いくつかのニュースを丹念にひも解くことで、大手マスコミが誤訳している世界情勢を説明してくれている本です。

それは、まさに文明社会と暗黒帝国の戦いであると思います。



宣戦布告にも等しいペンス副大統領演説

さて内容を少し紹介します。
2018年10月に行われたペンス演説。

ほとんどの大手メディアはろくに報道しなかったと思います。
虎ノ門ニュースを見ている方は藤井厳喜さんが、この演説を最重要視し、何度も番組で取り上げてくれたおかげでペンス演説と言えば、あれだな、と想像がつくことでしょう。

一般の方はろくにその存在すらしらないペンス演説。
しかし、その演説の重要性に気が付いた方が少なくとももう一人いました。元中国人の石平さんです。日本人となった今でも、元の中国がよくなることを願ってやまない熱い男です。
祖国の民主化運動の話題には、涙を流して論じる男です。

中国の現状のひどさを訴え、アメリカはもう騙されない、毅然と対応すると決めたことを宣言しています。

恥ずかしながらペンス演説の内容を活字で読んだのは、この本が初めてでした。

ストレートな内容で、日本のように「あえて名指しはしませんが」という曖昧さはありません。中華人民共和国は!と確実に明確にその国名を明らかにしています。

さらに新疆ウイグル自治区の人権問題も触れています。一般的に人権派と言われる民主党があえてムシをしていた人権問題を、保守的と言われる共和党のトランプ政権が指摘するのですから妙なものです。

まぁ日本の人権派と言われる方も、ウイグル自治区の問題はだんまりですし、日本人最大の人権問題であり、他国国家犯罪である北朝鮮の拉致事件については、ほとんど口を出しません。これが「民主系」の最大の自己矛盾ですね。

それはさておき、このペンス演説の内容を紐解きながら、米中の様子を解説しているのがこの本です。



まとめ 文明社会と暗黒帝国の戦い

私が最近のこのような本を読んでいる理由の一つが、この文明です。

なぜ、日本と朝鮮半島・中国と文化がこんなにも違うのか。
以前から、石平さんの本を読んで、「本質的に違う」ということは理解しつつあります。しかし、なぜ違うのか。

なんとなく考えていることは、かつての中国の文化は基本漢まで。元以降は、もともと持っている文化が異民族の侵略により、融合し本来とは違うものとして発達した。
のだろうということ。

正直や正々堂々と行ったことが美徳にならない文化。
かつてサッカーワールドカップで賄賂を渡し勝利に導いたと、公言してはばからない韓国サッカー協会トップ。
なんどかこのブログでも紹介した石平さんの本を紹介したような中国人の実情。

この日本および西洋社会で一目置かれる姿勢自体が理解できないのが、暗黒帝国です。

実は、日本も危機でした。
かつてバブル前後の時代は、努力がさげすまされ、手を抜くことが称賛されるような風潮に動いたことがあります。
よく考えれば、今の中国・韓国寄りの大手マスコミが、これらの国のやり方を称賛したに過ぎないと私は考えています。今でもテレビなどの大手マスコミには軽薄文化が蔓延していることでしょう。

その結果、文明社会vs中華帝国との戦いになることも、自明の理でしょう。
現在の日本は、独自の文化を継承しつつ、西洋的な文化も取り入れつつ、新たな文化を築きつつあります。
もともとの文化が、正々堂々などを評価するものであったことも幸いであり、西洋文化を上手く取り入れていると思います。

日本人たる私たちは、文明社会の一員たる国として暗黒帝国とは対峙する気構えが必要である。
そう教えてくれる良書です。
ぜひお読みいただきたいと思います。