2時間あるなら観るべし 『今夜ロマンス劇場で』

2021年1月25日

いい映画です 『今夜ロマンス劇場で』

面白い映画に出会えることは、本当に幸せなことです。
年末年始で何本かの映画を見ました。うちの一本がこの映画。いやーよかった。見てよかった。

いい映画に巡り合えたな、と思える一本です。2時間あって、見る映画に迷っているなら、絶対にみるべきです。お勧めします。
(宣伝するようで嫌なのですが、今回もAmazonプライムです)



ラスト30分の特別さ

最後の30分間。(細かく言うと20分ですね)
どの映画にとっても大切な一番の時間でしょう。
この映画同様です。いや他の映画以上に最後の30分のために、それまでの1時間30分があります。
特別な30分となっているです。

かなり気障な言い方をすると、最後の最後に「皆にとってのプレゼント」になっています。
いやーよかった。本当によかった。
悲しいけれど、ほっこりするラスト。後味がとてもよろしい。本当にロマンスを描き切ってくれました。

このあとに少しストーリーを書きますが、ラストのラストは書きません。
多少のネタバレはありますが、ラストはぜひご自分の目で、心で見てほしいと思います。

加藤剛さんの遺作


この作品は加藤剛さんの遺作でもあるそうです。
こんなことを書くのは失礼かもしれませんが、ストーリーとご自分の役者人生を投影されていたのではないか、と思わせてくれます。愛のある演技です。
静かに時が流れ、こんな愛があってもいいじゃないか。と思わせてくれました。



ちょっとだけストーリーを再現

古い白黒の映画のオープニング。劇中劇「お転婆姫と三獣士」の中の主人公(綾瀬はるか)

この古い映画は長い間ほこりをかぶっていました。

この映画をたまたま見つけ気に入った若き映画助監督。繰り返し映画を見るもフィルムが売られるその前日。
映画の中からも観客の様子がわかるようで、劇中劇の主人公も気が気ではない様子…。
そんな中、落雷の影響か、現実に出てくる白黒の劇中劇主人公。物語のメインはココから始まります。

映画は、現代?も同時並行。おそらく余命いくばくもない男性が、自分がかつて書いた未完の脚本を看護師に語っていきます。
さぼる口実の欲しい看護師が「もっと教えて」と催促。

しかし、物語に引き込まれ、本当に先の内容が知りたくなり、最後まで話を書くよう促していきます。

大切な伏線

はじめの5分あたりで定説な伏線があります。
「見舞いに来る孫は、入院中の祖父が転んでも手すら貸さない酷い奴。遺産目当てで虐げられている老人を見るのはつらい」と看護師が語るシーンです。

だんだんとこの伏線は意味が解ってきます。しかし、それでよいのです。あっとわかる大どんでん返しではありません。でもそれでいいんです。
果たして老人が描く、脚本の最後とは何か?

そして、これ以上は書きません。
本当に見て欲しい映画だから。深い謎は無いし、少し悲しい話でもあるし。だけど、ほっこりする映画。
頭を空っぽにして、あら捜しせずに、気軽に見て、ほろっとくる映画です。もっと評価されていい作品だと思います。

最後に、見た人はわかるだろうラストの遠映で締めたいと思います。
ぜひご覧になって下さい。