ワールドカップベルギー戦歴史に残る試合 日本代表かく戦えり(1)

2018年7月4日

日本のサッカー史に残る試合

負けたのは残念。しかし、素晴らしい試合でした。
まさかここまで西野監督がチームを立て直してくれるとは思いもしなかった。ありがとうございました。
注目すべき点の一つは、両チームともに反則が少なくクリーンな試合であったことでしょう。
日本・ベルギー以外の国の方が見ても、よい試合と映ったのではないでしょうか。
サッカーを見て30年見てきた私からすると、今回の大会およびベルギー戦は、日本サッカーが強くなるために、必要なステップなのではないかと思います。

サッカー日本代表の歩み

かつてワールドカップは夢のまた夢の大会でした。
日本代表は、アマチュア選手の最高峰の大会であったオリンピックですら出場が叶わない時代が長く続いていました。私が中学・高校のころは「ワールドカップというすごい大会があるらしい。」というのが、ワールドカップの認識でした。
マラドーナ、ジーコ、プラティニ、ルンメニゲといったスター選手が出場するワールドカップを、夜中のテレビ放送(しかも録画放送)で見るくらいしかできませんでした。
クラブワールドカップの前身であるトヨタカップで、ユベントスのプラティニが来た時には、大喜びしたものです。
日本代表がワールドカップに出場する。などと想像もできないような時代が長らく続いていたのです。
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これを変えたのがJリーグの開幕とキングカズです。
10代で単身ブラジルに渡りプロ選手として活躍していたカズがJリーグに参加。そして開口一番「日本をワールドカップに連れていく」
今まで夢としか思っていなかったワールドカップが具体的な目標になった瞬間でした。

日本に帰化したラモス瑠偉、カズといったメンバーを中心に日本代表は、ワールドカップ予選を勝ち進んでいきます。
監督はオフト。育成型の監督で「アイコンタクト」など、戦術面での育成を受けながら日本代表は、勝ち進んでいったのです。
しかし、運命とは恐ろしいものです。
アジア最終予選の最終戦で、勝利をほぼ手中に治めていた日本は、ロスタイムのイラクの同点弾でワールドカップへの切符を失いました。

ピッチに倒れこむ選手たち。誰も起き上がれず、オフト監督自ら各選手の元を回り立ち上がらせなければならない状況でした。
中継が終わりスタジオからの放送になっても、スタジオでも誰もコメントができないほどのショックを受けていました。日本中誰もが言葉を失った瞬間であっただろうと思います。

どうすればよかったのか。
サッカー日本代表に突き付けた課題は、大きく重いものでした。これほどのメンバーでもワールドカップは遠いのか…。
このドーハの経て日本サッカーは強くなったと思います。ワールドカップは簡単なものではない。そう神様が言っているような試合でした。
この経験が、日本に与えた影響が日本を強くしたのだと思います。
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今回のベルギー戦は、ドーハに続く伝説

ロシアでのベルギー戦、おそらく日本サッカーにとって大きな転換点となる試合として記憶されることでしょう。

ドーハではどうすれば、勝てたのか。どうすればよかったのか。
異論はあったと思いますが、ポーランド戦ラスト10分のボール回し。これが本来ドーハで必要なことでした。守備的にボールをキープする。
ポーランド戦は批判もあるでしょうが、流れを思い出して下さい。
まずスタメン・システムに変更はあったものの通常通り試合に入る。後半開始早々に失点により、攻撃的にいかざるを得なくなり攻めを強化、乾も投入。同時進行のコロンビアが先制との情報により、ラスト10分で長谷部を投入し、守備の意識に変更する。
という選手のメンタルにとって厳しいマネジメントをやってのけたのです。ドーハの経験は大きな財産となったのです。
ドーハから約20年。日本は下手ながらもゲームをクローズする方法を会得したのです。ワールドカップの舞台でできるようになったのです。

さて、ベルギー戦です。
私が歴史に残る、としているのはただ一点。
はるかに格上のベルギー相手に2点リードした日本。さぁ、どうする?守る?攻める?
ポーランド戦同様、後ろでボール回しでよいのでしょうか。残り30分回すことができるのでしょうか。

メンバー選考&ゲームプラン。監督は様々な状況を頭の中でシミュレーションして試合に臨んでいるでしょう。しかし、この状況をイメージしていたでしょうか。
さすがに、予測していなかったと思います。
先制されていかに追いつくか、といった状況はよくイメージしていると思います。しかし、世界ランク3位相手に2点リードという状況は想定できていなかったと思うのです。
世界ランク3位のチームが必死になって攻めてくる。後ろでボール回しではリスクが大きすぎる。ポーランド戦とは圧力がまったく違います。かといって攻めても…。事実ベルギーの攻撃は、どんどん厚みを増してきていました。

考えている間に、ただ時間が過ぎていく。

また大会前に「ベルギー相手に2点リードしたときに備えて、この選手を選んだ」と、もし監督が言ったら日本中が失笑したことでしょう。
しかし、現実に世界ランク3位相手に2点リードする場面ができるまでに日本はなったのです。世界ランク3位相手に2点リードしたときにも備えてチームを作る必要があるのです。
日本は、やっとそこまでに成長したのです。

世界ランク3位相手に2点リードした。ここからゲームをコントロールし、勝利に結びつけていく。その必要性を、ベルギー戦は教えてくれています。ボールを保持することをメインにしながら、攻める手段をじっくり探していく。
日本が更なる上に行くために、この戦術と実行できる選手が必要となることでしょう。言うは易し。実際にできるようになるには、もう少し経験が必要でしょう。

選手の皆さんは悔しいことでしょう。立ち上がることができない、ドーハ以来の選手たちの姿。相手のベルギーの選手らが戦いを称えて起こしにくるほどの、激戦でした。
本当に素晴らしい戦いでした。そしてこの経験こそが将来の糧になるのです。格上チーム相手にリードしたときのゲームマネジメントの重要性を教えてくれた選手たちです。歴史に残る選手たちです。

日本にとって、ドーハ以来の歴史に残る、いや残し教訓とすべき試合になったと思います。
ドーハの悲劇と同じようにベルギー戦は、日本にとって大きな財産となることでしょう。
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