シリウスの道 藤原伊織(小説とドラマ 後半ネタバレ注意)
藤原伊織
私は藤原伊織さんの本のファンでございます。
「テロリストのパラソル」から始まり、「ひまわりの祝祭」など独特の世界観の大ファンです。
そして中でも「手のひらの闇」と共に、仕事を作品中に描いた「シリウスの道」は大好きな物語です。
ぜひ本をじっくり読んで欲しいと思う作品です。
今回は、そのドラマを拝見したので、ドラマ版との違いを書いてみたいと思います。
ドラマ シリウスの道
初めに書いておきますが、ドラマと小説はどうしても別物です。
違うものとして認識していただき、その上で楽しんでみて欲しいと思います。
ドラマはwowowが2008年に制作したようです。
私は全く知りませんで…。今回たまたまAmazonプライムで出てきたので無料で視聴しました。一般の方もレンタルという形で視聴可能と思います。
結論から書けば、まぁまぁ面白かった。小説のファンは厳しいですから、難しいところですがそれなりかと。
またラストは小説とは違います。当然内容も少し違います。ということで、よろしかったらドラマもご覧ください。個人的には、それなりに楽しめました。
また、この後はドラマ版のネタバレが含まれます。ご注意ください。
ドラマ版 シリウスの道(ネタバレ注意)
まずはじめに勝手な感想。
2時間半では短すぎる。しかし2時間半にしてはよくやった。(上から目線ですみません)
wowow独自制作ドラマとしては、よくやったのではないか、と思います。
しかし、できるならwowow流の5回シリーズで計5時間弱でやってほしかった…。5回シリーズでも実際は正味4時間程度でしょうけど、せっかくここまで作ったのだから、内容を割愛しすぎず、もう少し頑張ってほしかった。
というのが、正直な全体の印象です。
時間短縮のために、どうしてもセリフが状況説明が多くなります。そのため原作を知らずに見ていると状況理解が難しいのではないかな?と感じます。
キャストは頑張ったと個人的には思います。
主人公である辰村に内野聖陽、そして花の立花部長には真矢みき。個人的には、この配役いいと思います。特に立花部長、真矢みきの配役はいいと思うのですけどね。
広告業界で出世するできる女。仕事にのめり込むあまり娘の親権を取られてしまう母親…。部下である辰村に惹かれる上司…。
気になるあの店 五兵衛
藤原伊織さんのファンの中で、おそらく全員が気になるあのお店。そうバー五兵衛。
当然ドラマシリウスの道登場します。流石にこれを割愛したら、全員が怒り心頭になることでしょう。
膝枕でよだれ垂らしたり、作品中に無くてはならないシーンが多いので当然と言えば当然でしょうかね。
もちろんホットドックも出てきますよ。ファンとしてはしびれるシーンです。
蛇足ですが、キャベツをカレーで炒めるホットドックを私も作って食べたことがあります。
いくつかの気になる点
もう、この点は2時間半に収めた作品なので、あちこちが省かれています。
仕方ないですね。
私が一番嫌だったのは、仕事のシーンが井上陽水の歌をBGMに短縮され、詳細が省かれていることです。
この「シリウスの道」の醍醐味の一つは、仕事に打ち込む姿だと個人的に考えるからです。苦難があっても、本気でぶつかり協力しあう。知恵を出し、汗をかき、徹夜をし、そして恋心も芽生える。
本気で仕事をする素晴らしさも、描かれた作品それがシリウスの道だと考えているもので…。
その意味でもちょっと残念です。
また同時に、線が細いながらも主人公辰村に勝るとも劣らない根性の持ち主である、部下の戸塚。彼が普通なんですよ…。
一般人として描かれてしまっています。
同様に、くせのある派遣社員だった平野。若干くせのある点は描かれているものの、エピソードとしては弱い…。
ということで、私としてはこの「仕事面の描写」がとても残念でした。
あとは、辰村と立花の掛け合いも、もう少し丁寧に描いて欲しかった点です。まぁ2時間半だし仕方ないのですが。
原作「シリウスの道」を知らない方には、ドラマの会話のキャッチボールが唐突過ぎる感があるのではないでしょうか。
小説にあった、膝枕で寝た辰村が立花のスカートへよだれの染みを作る。後日改めて二人で飲みにいくことを辰村が提案したシーン。
立花「また私の膝枕で眠りたいわけ?でもよだれでスカートに染みができちゃうのはどうだろう」
辰村「最初からスカートを脱がせていれば、その心配はないでしょう」
立花「うん、それは悪くない考えかもしれない」「非常にいいアイデアかもしれない」
これが見たかったなぁ。(わかる人向けです。すみません)
他にも、うーん。
と原作「シリウスの道」ファンとしては納得できない点もあります。明子が芸能界に入った理由なんかも、入れて欲しかったなぁ。
しかし原作と異なるラスト。短くそれなりにまとめた。これはこれで、という感じがします。
少し長いドラマですが、ぜひ秋の夜長のおともにいかがでしょうか。
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