これが真相 安田さんに謎は無い しかし向いてない。

2021年1月25日

安田純平さん記者会見

安田純平さん記者会見を拝見した。
完全にすべてを見たわけではないが、おおむねAbemaTVで拝見した。
結論から言う。
あなたに謎は無い。
そして、あなたの会見は立派だった。

記者会見雑感

解放後の安田さんの言動と、ぱっと見た限りでの状況から「謎」であると感じていた点が多々あった。
それを過去の3つの記事として記載してきた。
ジャーナリスト?安田純平さん いくつかの謎1など

しかし、記者会見でよくわかりました。
安田さんに謎はない。そして自己責任を一番感じていること、会見も誠実に正直に話をされてたことがよくわかりました。

正直に話すのは、とても勇気がいることであろうと思います。しかし、自分自身でも情けないと感じていることも正直に話しました。

その姿勢に拍手を送りたいと思います。

謎 3年も生きてこれたこと

私が謎であると考えていたことは大きく分けて次の2点でり、ここから派生される状態である。
1.なぜ3年間も殺されすにすんだのか。すぐに殺されている方は多い。
2.3年にわたる拘束にもかかわらず、心身ともに大きな障害なく過ごせた理由は何か。

答えは、記者会見で明らかとなった。
1.極めて紳士的な武装組織に誘拐された。
2.この組織はあくまでも誘拐による身代金着手が目的であった(と記者会見で感じた)。
すなわち、想像していたジハードの名の下に命を投げ捨てて改革を目指す本物の組織に拘束されていたのではない。
あくまでも誘拐を目的とした(ゆるい)組織(ビジネスとして誘拐をしている)に拘束されていた。らしい。
ということだ。

誘拐ビジネスだから、誘拐したものを生かしておく必要がある。しかもある程度心身の健康を保って生かす必要がある。でないとビジネスとして成立しない。健康的に生かしておくことが目的なのだ。
だから、ある程度心身の健康を保てたのであろう。

これが戦うことを目的とした武装組織であれば、捕虜を生かすことはあくまでも2の次、3の次の目的となる。
そのような組織であれば生きて帰ることはなかっただろう。

このようなビジネス誘拐であると、想像すらしなかった。
私自身の想像力の無さに、嫌気がさす思いである。安田さん、疑って申し訳ございません。

さらに、厳しい環境もあったが、当初はデザート付きであったなど、本来なら言わず隠してもわからないこともきちんと報告した。
これなぞビジネス誘拐の典型なのではないか。
万が一、組織が見つかっても刑が軽減されるよう、リスク回避の策として比較的安全な監禁状態としているのだろう。

お金が取れずに厳しい環境下におかれたこともあっただろうと思う。しかし拘束している趣旨が違うのであるから、本当に死が目の前という状況は少なかったのではないだろうか。
主たる目的が誘拐による身代金の奪取であれば、当然のことだと思う。

いずれにせよ、厳しい環境のみであったことをアピールすることもできたであろうが、正直によく話したと思う。

取材の失敗

もう一つ、立派であると思えるのは、取材の失敗を自らしっかりと公表したことである。
それが、生きて帰った要因でもあるが、失敗には違いない。

彼の失敗を私なりに解釈したい。
仮に目指す紛争地を本州最北端の青森としよう。
彼は東京を出発し、栃木県まで来た。ここでガイドを雇ってなんとか白河の関を越えたいと画策した。
しかし、ガイドの策略か自身の勘違いか、白河の関を越えた段階で拘束されてしまった。

目指す目的地は、はるか彼方。本来なら福島、宮城、岩手と越えて本丸の青森に入る予定が、福島に入ったばかりで拘束されてしまった。
東北地方に入ったばかりの地点で、青森とは遠く離れた場所で拘束されてしまったのだ。

戦闘が行われているだろう青森から、遠く離れている地域であり、武装勢力もビジネス誘拐を目的とした組織くらいしかいない。

これが手前の岩手や青森まで行って拘束されていたら、生きて帰ってこれなかっただろう。目的を達するために命を懸けている組織では、拘束された捕虜なぞ虫けら同然の扱いだろう。
生きて帰せば何らかの情報が洩れる。不利な情報が流れる危険を考えれば、手っ取り早く手を下すだろう。

その意味では運がよかったのか、悪かったのか…。

この失敗をしっかりと公表するのは、勇気あることである。記者会見での発言は拍手を送りたい。
この姿勢は、彼の信条なのだろうと勝手ながら理解した。
素晴らしかった。改めて拍手を送りたい。


蛇足 あなたはジャーナリストに向いてない

しかし、一応最後に指摘したい。
安田さんは、過去に複数回拘束されている。しかし、いずれも生還している。今回も拘束期間は3年以上におよぶものの生還した。

過去の拘束も同じような感じではないのか?取材の本丸に近づく前に拘束される、であるから無事に生還できる。

そして遠い地点だから拘束されても、生きて帰ってこれる。ということではないのか。

逆に言えば、過去も本丸近くまで迫ることができてないのではないか。本丸に届いていないのではないか。もし、そうであればジャーナリストは辞めたほうがよい。
はっきり言って向いていないのだ。

少なくとも紛争地域の取材は、命がけだろう。その価値も理解している。しかし、職業には向き不向きがる。あなたの意向を無視して言えば、前述の状態であれば向いていないと言わざるを得ない。

残念ながら、努力だけでなく運というものもある。職業で成功するのも運。生きて帰ってくるのも運。生きて帰る運はあっても、ジャーナリストとしての運は無い。繰り返すが向いてない。

今回は生きて帰ってきたことに感謝し、新たな道を目指すのも勇気ある決断であろうと思う。

今日の記者会見のように、正々堂々臨めばよい。と私は考える。